「ほら、柑菜行くよ~」

「や、待ってくださいっ!ま、まだこころの準備が〜っ」

「ええから、行くで」

朝からこんなやりとりが何度も繰り返される。

「お母さんのとこ顔出さんと、夏休み中一度も顔だしとらんやろ?」

「いやですーっ」

そう、お母さんの所。つまり、私の家に顔を出しに行くんだけど…
私はお母さんに顔を合わせたくない。
嫌いってわけじゃなくて、真守さんとの同局を反対されるかもしれないから。
帰ってこいって言われるかもしれないから。

「なんで、そんな嫌なん?」

真守さんは、ソファに座る私の前にしゃがむ。

「だ、だって…」

「ん?だって?」

「もう、同居終わっちゃうかもしれない…から……付き合ってるって知ったら…ままダメっていう…きっと」

「そーゆうことな?かわええこと考えるなぁ」

ポンポンと私の頭を撫でる。