夫婦の定義──君が僕のすべて──

しばらく経って、ユウが戻って来ない事が気になったレナは、部屋を出て売店へと向かった。

(もしかして、私のせいで部屋に戻りづらいのかな…。)

売店の近くまで来た時、ロビーの方から若い女性の賑やかな声が聞こえた。

(なんだろう…?)

レナは声のする方を見る。

その視線の先には、若い女性ファンのグループに囲まれて、困ったようにはにかむユウの姿。

その後ろから、赤ちゃんを抱いた若い夫婦がやって来て、ユウに話し掛けている。

ユウは求められた握手に応じた後、赤ちゃんを見て優しく笑い、愛しげに柔らかそうな頬に触れた。

(………。)

その光景を見たレナは、寂しげに目を伏せて踵を返し、部屋へ戻った。

今の自分には、何も言えない。

(こんな私なんかに、ユウを縛り付けておく事はできないよ…。いっそ消えてしまえたらいいのに…。)