“ごちそうさま。ありがとう。”
帰宅したユウは、テーブルの上のメモと、水切りカゴの上のキレイに洗われたお弁当箱を見て微笑んだ。
(ちゃんと食べてくれて良かった…。)
ユウはレナの部屋のドアをノックして声を掛ける。
「ただいま、レナ。」
声を掛けてもいつもみたいに部屋から出て来たりはしないんだろうなとユウが思っていると、静かにドアが開いた。
レナはユウの目から視線を少しそらしながら、口の動きだけで、おかえり、と言った。
「うん。ただいま。」
ユウは、久し振りのレナの“おかえり”が嬉しくて笑顔になる。
「お弁当、食べてくれたんだ。」
ユウの言葉に、レナはコクリとうなずき、また口の動きだけで“ありがとう”と言う。
「うん…。どういたしまして。」
レナが“ごめん”じゃなくて“ありがとう”と言ってくれた。
(久し振りにレナと会話してるな…。)
まだ目を合わせる事はできないし、会話と言うほどの会話でもないかも知れない。
ついこの間までは当たり前だった事が、今のユウにとっては、とても嬉しかった。



