夫婦の定義──君が僕のすべて──

シンヤがマユの病室へ戻った後も、レナは新生児室の窓越しにマユの赤ちゃんをしばらく見ていた。

(ホントにかわいい…。ユウにも見せてあげなきゃ。)

それからスマホのカメラで写真を撮り、レナはマユの病室へ戻ろうとした。


お手洗いを過ぎた所で、つらそうに立ち止まっている妊婦さんを見掛けて、レナは思わず駆け寄った。

「大丈夫ですか?」

「ありがとうございます…。少しすると落ち着きますので…。」

レナは妊婦さんの腰をさする。

(この人も、これから出産なんだな…。)

少しすると、歪めていた表情をゆるめた妊婦さんが、ゆっくりと顔を上げる。

「もう大丈夫です…ありがとうございます。」

「いえ…。病室に戻りますか?」

「ハイ…。すぐそこなので、大丈夫です。」

レナは心配になって、その妊婦さんの病室の前まで付き添った。

「ありがとうございました。」

「いえ…。」

妊婦さんは頭を下げて病室へと戻って行く。