平日に仕事に疲れたハルに、家まで送ってもらうのは悪いと思った。ハルにあまり負担をかけたくなくって、私は部屋に来る日はバイクで出勤するようになった。 「夜の運転は危ないから、バイクで来るな。ちゃんと店まで迎えにいくから」 ハルは初めそう言ってくれたけど、バイクのほうが時間短縮になって、ハルと少しでも長く居られると思った。 帰り際、降りるエレベーターでずっと手を握ってくれた。 私がヘルメットを手にしたら、必ず私の顔に手を触れてキスしてくれる。 さみしいけど、幸せを感じる時間だった。