玲奈は気づいていないふりを装うと、コーヒーをすすった。

彼女も笙に負けないほどの美貌の持ち主である。

色素が薄い茶色の巻き髪と女優のように整った顔立ちが、来店してくる男性客を虜にしている。

常に客から話題とアプローチを受ける玲奈だが、本人は無表情に全てを受け流していた。

「うーん、確かにキレイだよね!」

同性から絶賛されるのは悪い気はしない。

「体型とかグラマーだし、グラビアとかやれるんじゃない?」

そう言った女性客に、
(勝手に決めつけるな!)

玲奈は心の中で盛大にツッコミを入れた。

その時だった。

「お待たせしました」

笙が女性客のテーブルのうえにショートケーキを置いた。

「えっと、頼んでないんですけど…?」

戸惑っている女性客に、
「当店のサービスです」

笙が天使のように微笑んだ。