『ブラッディ・キャッスルに来ない?』


「え?」


何処かから、女性の声が聞こえた。

柔らかい、何でも暖かく包み込んでくれそうな、甘く優しい声。

辺りを見回したけど、誰もいない……


『そこに行けば、貴女の想い人を生き返らせられるわ』

「え?!」


本当に?!

その言葉で、声の主の正体も、何もかも疑問に思わなくなった。


『本当よ。嘘じゃない』


私の心を見透かす甘美な誘惑は、段々酔ったような気分にさせる。


『付いて来てごらんなさいな』


甘い声が聞こえたと思ったら、ふわっと薄い紫色の花弁が舞った。

薔薇かな。心が落ち着くような、上品な香りがする。

コレに付いて行けってことか……

行けば、黄太を……

私は、フラフラとその香りに誘われ、森の奥へ入っていった―――