中央に大きな装置が置かれた、ステージのように高い場所に、その男は立っていた。

普通の研究者のような風貌で騙されそうになるが、人を攫った犯罪者だ。

この男が、天見と氷雨をさらったかもしれない人なのか……?

間地先生は喧嘩を売るように仁王立ちですごむ。

「よぉ、一年ぶりになるな。氷雨と天見はどこだ?」

間地先生が言ったということは、一年前の男で間違いないのだろう。

「そう急かさないでください。それにあまり大声を出すと私の娘が驚いてしまう」

「娘〜?」

カゴメが首を傾げる。

「先ほどから姿が見えなくてね……はて、どうしたものか」

「そんなのどうでもええねん!氷雨はどこや!」

痺れを切らした水晶が喚く。

「ヒサメ?……あぁ、あの娘か」

微笑みを浮かべながら、こちらへ降りてくる男。

「その前に、自己紹介をさせてください。私は設楽 宙(したら ひろ)。ここで独自研究をしています」

設楽は恭しく頭を下げる。

上げた顔は、目が死んでるように光が無い。