「え?変な研究者たち?」

コショコショ話を終えると、氷雨は神妙な顔で頷いた。

「はい。さっきどこかから私達、能力者や奇病者の教室のことを知った研究者と名乗る方が、警備員達を押しのけて中に入ったそうです」

「それって……アタシたち、研究の材料にされたり売られたりするかもってこと?!」

カゴメが『おーまいがー!』と叫んで頬に手を当てた。

「まあ、おそらくそうでしょうね……」

「逃げたほうが良いか?僕の能力で飛ぶ?」

論土が眉をひそめる。

「いや、まず間地先生に聞かないとどうにもならないよな……でも前に来た時ヤバい道具とか使ってまで連れてこうとしてたし……逃げるなら早めに……」

「ま、前にもあったんですか?!」

佐月は思わず藜の肩を掴んだ。

「言っただろ?奇病者や能力者は昔から売られたりしてたって……一年前も、那々たち三つ子が入学する前にあったんだよ、似たようたことが。
さて、どうしたものか……」

藜は最年長者として皆を上手く逃したいようだ。

眉間にしわを寄せて必死で対策を考えている。