「まさかここまで騙されるとはなー!
改めて自己紹介するね。オレは空井 藜(そらい あかざ)。健全な高等部三年生の男子だよ」

「へー、三年生なんですか……
 ……え゛っっ?!!!!『男子』??!!」

「佐月さん、藜さんは女装が得意なんですよ~」

金が今更のように説明する。

確かによく考えると、自分のことをオレと言っていたし、藤色のパーカージャケットで体型を誤魔化して入るが、ワイシャツ越しに運動部のようなバランスの良い筋肉がついている。

「これからよろしく、佐月くん♪」

「……」

返せ、俺のときめき!!!

ギリギリ惚れなくてよかった……。

佐月はその場に呆然と突っ立ったままでいるしかなかった。

「よう気ぃ付けぇ、佐月くん。ここの奴ら、特に今ここに居る奴らで殆どまともなのおらんから。ま、僕はまともやから安心しぃ」

水晶に慰められるように肩を叩かれた。





(なんか……今更だけどここでやってける自信がない!!!)



日和に無理矢理連れてこられた時に、ハッキリと気づくべきだった。

佐月は身体を硬直させたまま、心の中で絶叫していた。