朝妃は面倒だからという理由で、パトカーに乗車せず、その場に残っていた。

「い〜のい〜の。なんかあったら、また呼んでねぇ?夏音ちゃんの為ならあたし、協力するよ〜」

「夏音と朝妃さん……二人は知り合いなの?」

やけに仲が良い。

まるで姉妹だ。

「うん、近所に住んでるお姉さんなんだ。ここでバイトしてるの」

いぇーい、とピースサインをチラつかせて笑う朝妃は、さっきまで槍を振り回してた人に見えない。

「朝妃さんは槍の使い手だからね。楽久さんと夏音を通して、ボクが話し合う場所をここにして欲しいってお願いしたんだ」

「季希ちゃんだったかな、協力ありがとね〜。凄く助かっちゃった。おかげで真犯人捕まえられたよぉ」

「いえ、こちらこそ、捕まえてくださりありがとうございました」

「いや〜、偶然私の名前が歌詞に入ってて良かったわ〜!まさかアレで逆転できちゃうとは!」

「そういえば、舞衣さんは大丈夫なの?ついていかなくて」

咲久がふと口を開く。

「私が止めたんだから、いーのいーの。舞衣はただマネージャーに無理に歌わされた被害者だったんだし」

全て自分が無理やりやらせたことであって、舞衣は渋々やっていたと、茂呂は言っていた。

一番の被害者である楽久があっけらかんと言ってしまったら、もう誰も何も言えない。