新しい家は、クリーム色の壁、チョコレートみたいな屋根、二階の窓の一部には、飴みたいなステンドグラスが嵌め込まれている。
お菓子の家みたいな可愛いらしいデザインだ。
ここに今日から住むんだ……!
春亜は改めて感動する。
「春亜、気に入ったか?」
「あ、お父さん!」
後ろから荷物を持った父、日出彦(ひでひこ)が話しかけてきた。
「うん、すっごく良い所だね!前と全然違う!」
春亜が前に住んでいたのは高い建物だらけの大都会。
そこのアパートで暮らしていたが、今年の春から父の転勤で、ここに引っ越してきた。
緑が綺麗なちょっとした田舎、漣市(さざなみし)。
空気が綺麗だし、とても静か。
前に住んでいた高層ビルやマンションばかりの都会とは大違い。
春亜はここをすぐに気に入った。
「それなら良かった。荷物運び終わったら近所の人に挨拶行こうな。」
「うん!」
家の観察を終えた春亜は、荷物運びの手伝いへ向かう。
(あー、こっちでもいいことありそう!―――ん?!)

