書き終わった季希は、マジックペンの蓋をキュッと閉めた。
「出来た」
季希が書いたのは、
♪『ど』うけしとさぎしのちがいはなんです『か』?
『う』そと本当のさはどこにあ『る』?
『け』んそうはやめてはなとあそ『べ』
『し』ずかにねむりたいな『ら』
『の』ぎくのようにはかな『く』……
という、ただ歌詞の最初と最後の平仮名にに鍵カッコを付けたもの。
「これがどうしたの?」
「舞衣さん、これ、左から縦に読んでみて」
「左から?縦に?」
えっと、と少し考える素振りを見せてから、舞衣は読み上げる。
「『どうけしの……かるべらく』……『道化師の軽部 楽久』?!」
「な?!」
茂呂も歌詞を目で追う。
合点がいくと、青白い顔を更に青白くして、驚いた。
「ね、もうこの歌自体に『道化師=楽久さん』ってメッセージが入ってたんだよ。ね、これで言い逃れ出来ないでしょ、おじさん、舞衣さん?」
にっこりと微笑む季希。
美しいが、恐怖を感じさせる笑みだ。

