車の後部座席からぴょんと降りる。

長時間座ってたから、身体が少し痛い。

軽く伸びをすると、暖かい風が頬を撫でた。

顔を上げると、雲一つ無い青空。

足元を見ると、赤いレンガの地面を桜の花びらが絨毯みたいにかかってる。


「着いたああああああああああああああああ!!!!!!」


小柳 春亜(こやなぎ はるあ)は、今度は大きく伸びをすると、腹の底から喜びと疲れを吐き出した。

「こら!近所迷惑でしょ!静かにしなさい!」

助手席から降りてきた母、風子(ふうこ)に怒られた。

「はぁい!」

静かにする、なんて無理!

興奮を抑えられず、春亜はドタバタと家の周りを観察し始めた。

風子は一つため息を付いて、荷物運びの手伝いに回る。

家具などの大きい荷物は引越センターに任せているため、あとからくる予定だ。

そのため、運ぶのは小さめの荷物。