ココアブラウンのふわっとしたショートヘアに、ラフでシンプルな格好。
季希のお姉さんだろうか?
お姉さんはパタパタと門の外にいる春亜の前まで来ると、門の鍵を開けた。
「あ、もしかして、隣に越してきた子?」
「はい、小柳 春亜っていいます!今日は挨拶と、プリントを届けに来ました!」
お姉さんが柔らかな笑顔になる。綺麗というより、可愛い感じだ。
「あら、わざわざありがとう!」
プリントを受け取ると、お姉さんは急に曇った表情になった。
何か書いてあったのだろうか?
「―――ねぇ、春亜ちゃんは季希の話は聞いた?」
「あ、はい、夏音ちゃんって娘から少しだけ……」
「ちょっとお願いがあるの。家に上がってくれないかしら?」
「え?」

