―――放課後。

その日は新学期初日で午前中授業だったため、早く帰路につけた。

春亜は幸運なことに、季希の家と隣同士だと知った先生から、お知らせと宿題のプリントを届けるよう頼まれて、ランドセルを背負ったままスキップと鼻歌まじりにまっすぐ隣の家に向かっていた。

(あたしって、やっぱツイてる!)

季希の家を改めて正面から見ると、庭も家もかなり大きい。

ロートアイアンの門、赤い薔薇を中心に色々な種類の花が咲き乱れる広い庭。

そして、魔女の館のような怪しげな印象の洋館。

少し緊張しつつ、春亜は門の横の塀にあるインターホンを押した。



  ギィンゴオォーン♪



古い鐘のようなチャイム音が鳴る。

数秒後、玄関から声が聞こえてきた。

「はーい」

出てきたのは、二十歳くらいの若い女性。