春亜は、前の席のロリ風女子の隣も空いていたので、隣に座って教科書を見せてもらうと云う形で、授業を受けることになった。
「わ、私、桧原 夏音(ひのはら なつね)……よろしくね、こ、小柳さん……」
夏音はリンゴのように赤くなった顔を国語の資料集で隠した。
この子は恥ずかしがり屋な性格のようだ。小動物みたいで可愛らしい。
「春亜で良いよ!こちらこそよろしく、夏音ちゃん!」
「う、うん……わかった……私も、夏音で良いよ……は、はりゅ、春亜ちゃん……」
少し噛んでしまうところがまた可愛い。
急遽、職員会議が開かれたらしく、先生達が行ってしまった為、一時間目の国語はほぼ自習になった。
皆配布されたプリントをやりつつ、お喋りをしている。
春亜は夏音にそっと訊ねた。
「ねぇ、夏音ちゃん。あたしの隣の席の子って、どんな子?魔女だとか、そういうんじゃなくて、名前とかを聞きたいの」
ピクリと身体を震わせる夏音。
彼女は何か、なぜ隣の席の子が煙たがられているのか、知ってるのだろうか。
「あ、あの席の子は……、女の子で……名前は、夜園 季希(よぞの きき)ちゃんっていうの……」
「へー!そうなんだ!あ、『キキ』だからアダ名が『魔女』なんだね」
可愛い名前だな、ちょっと会ってみたいかも!春亜は少しワクワクした気分になった。

