願いの本

「クスクス……もし、叶えられないとしてもここに書いてみるべきじゃないかな? 叶うかもしれないよ?」

クスクスと愉快そうに笑いながら彼女は俺を見る。

俺はその視線がどうにも苦手だった。

「……んじゃ、書いてみてやるよ。叶わなかったときは覚悟してろよ」

俺はそう言うと彼女はクスクス笑うのをやめて突然、口が避けたかのようにニンマリと笑って言った。

とても不気味だった。

「では、説明を始めます……まず、私は神無月冴と申します。叶える願いは一人一つ、叶った世界はもう戻らない」

そこで彼女は……冴は一息ついて言った。

「たったこれだけですよ、簡単です」

冴は「では……」と言いながら俺に万年筆を握らせた。

俺は何も言わずにうなづいてそのページに願いを書いた。

額に汗が浮かぶ。