なぜ極東の、こんな島国に母は嫁いだのだろう。


私は周囲の子供たちとまるで違う。


だけど、白い肌も、赤い髪も、全て私の容姿を褒める言葉になる。


『お姫様みたい。』


でも、そんなの望んでない。


私はお姫様なんかじゃない。


なのに、外見以外は全部みんなと一緒のはずなのに、みんなはそう思ってくれない。


いつの間にか私のファンクラブだとかが勝手に出来た。


意味が分からない。


二人組みでしなければならない作業の時、誰もがこう言って私から遠ざかる。


『そんな恐れ多いこと。』


私は特別視されて、誰も近寄ってくれないのだ。


そして、誰も私が一人でいることに気を使わないし、気にしてくれない。


だから、私には一緒にランチを食べる友達もいない。


教師達からは協調性の無い人間だと思われ、さらに腫れ物に触るように扱われる。


それでも、そんな私を賛美する人々の耳障りな声も、孤独な日常の寂しい記憶も、リコリスを前にするとその強烈な美しさに霞んでしまって、どうでも良くなってしまう。