私は泣きながらリコリスの背中に手を回して、それからそっと力を入れた。


「リコリス、あなたがとても好き。」

「私もよ。」


リコリスは私の耳に口を寄せて、こう続ける。


「ねぇ、もう少し、こうしていて良い? あなたのこと、全て覚えていられるように」


それからどのくらいそうしていただろうか。


リコリスが次第に強く、強く力を込め始め、苦しくなった私は喘ぐようにしてそれを止めた。


「リコリス、ちょっと痛い。」

「ごめん。」


リコリスはそう言って私を解放する。


その時、リコリスのその顔に、細やかな寂しさがあったのを、私は見逃さなかった。


「リコリス、どうしたの?」

「ごめんね。あのね。驚かないで聞いて。会えるのは多分、今年で最期なの。」


リコリスはそう言うと、寂しそうに笑った。