モバイバル・コード

「お待たせ! もう駅に行くの?」


 店を出て、上野駅中央改札前に向かう為に歩き出した。


 12時を過ぎて少し気温が下がったようだ。パーカー1枚じゃなくて本当に良かった。


「ああ、ぼちぼちな。話したい事もあるから」


 雷也がオレの後ろで笑い出す。


「ははっ、実際は何も考えてないんでしょ?」

 
 後ろを歩く二人に、手を振って答えてやる。竜二の癖がうつったかもしれない。


「試合前の緊張ほぐし、大事だよね」


 愛梨の声を背中越しに聞く。


「愛梨も龍ちゃんも気づいていると思うけど、今回は一つだけ分かってる事がある」


「電車……だよね。今から何するんだろう。あたしも……力になるからねっ!」

 
 正直、ツライ。色々考える事が……。終わったら温泉でも行きたい気分だ。


「ところでさ、明日は何食べたい? お昼」


 突拍子のない話に、雷也が食いついてきた。