そう言えば今何時なんだろう。

 何気なく携帯の時間表示に目をやると、時計は十二時七分を表示していた。

 ああ、私、会社サボっちゃたんだ。

 十二時過ぎって事は、美樹はちょうど昼休みか。

 上沼はきっと激怒しているんだろうな……

 でももうそれもどうでもいい。

 まさか二十七歳という、年齢的に立派な社会人にもなって無断欠勤という非常識な行動をとるとは思いもしなかった。

 これでもう私は上沼に対して何も言えない。

 私は美樹にだけでなく、上沼に対しても自分の存在するスペースを失ってしまったのだ。

 こんな会社、入るんじゃなかった。

 無理してまで頑張るんじゃなかった。

 今更後悔をしても、遅い。

 退職する時ぐらいは、一度顔を出さないといけないかな。

 それとも、このまま何日も無断欠勤を繰り返せば、向こうから勝手に解雇してくれるんだろうか。

 いろいろと考えてみるけれど、私はうわの空だった。