「あ、雨だ」 友人の声で我に返れば、すでに放課後。 「真澄、ひどくなる前に帰ろうよぉ」 懇願する友人に急かされ、私はカバンを取り出し、帰宅準備を始める。 「あれ?」 「どうしたの?」 カバンの中に、借りた記憶のない本。 青い表紙は、やけに古ぼけていた。