メビウス・レイン


「あ、真澄、雨降ってきた!」


「本当だ」


「どうしよ、アタシ傘ないよ〜!」


「私も。……どうしよっか」


気を落とす友人の肩越しに、小さく『彼』の後ろ姿がちらついた。

その足は、ゆっくりと図書室へ向かって行く。

ふと、振り返った彼と目があった。

「ごめん、用があるから先に帰ってて!」

「ち、ちょっと真澄!?」

友人の横をすり抜けると、その足で彼を追った。

閉まりかけの扉を開き、図書室へ入る。