まるで西洋人形(ビスクドール)みたいな人。 そのディープブルーの瞳も、ページをめくる細くて長い指も、名前を呼んでくれる優しい声も、その声を紡ぐ薄い唇も、彼の全てが私を支配していく。 すらりと背の高い彼を見上げて、私は微笑する。 「ううん、遅れたのは私だもの」 彼は笑顔をくれた後、棚から一冊の古い本を取り出した。 それは埃を被っていて、彼は軽く叩くとパラパラと内容を確認するようにページをめくった。