「ねぇ、先輩は覚えてますか?」 「え?」 桜田の言葉で静かな空気が流れた。 その静かさは この激しな雨の音なんかかきけすような……… 僕は彼女の声しか聞こえなくなった。 「私ね、中学の頃 一度、先輩に告白してるんですよ。」 笑ってそう言う彼女だけど 発した言葉は悲しげだった。 僕に告白した? その言葉で僕は中学で初めて告白された女の子の姿を思い出す。 名前も顔も知らなかった女の子。 そんな子に告白されたことを思い出す。