暖かな風があたしの髪をさらさらと揺らしている。
重たい瞼をゆっくりと開いてみる。
太陽の輝きに少し目がくらむ。
「ここは…?」
さっきまで見えていた、病院の白い天井はどこにも見当たらない。
まして、ここが建物の中ではなく、外にいた。
どうなってるんだ?!
確かにあたしは病院へと運ばれ、白い天井と目を腫らした母の顔を最後に意識を手放したはず。
頭がおかしくなったのか…。
頬をつねる。
「痛い…。」
少し、涙が出た。
胸に手を当ててみる。
トクン、トクン…
規則正しく、時を刻むように鼓動している。
あたし、生きてる?