サクラビト~約束~




はぁはぁはぁ…

い、いた…



「忘れたんじゃないかって思ったし…」



女性は俺を振り返ることなく、話す。



「ご、ごめん。」



女性が先ほど買ったさくらを俺に差し出した。



突然、風が吹いた。



女性のハットが風に飛ばされ、今まで見えなかった顔が露わとなった。



俺はその女性が間違いなく、桜であると感じた。




「待った?」



「ううん、俺にとってはたった3日のことだったよ。」


「あたしにとっては10年だけどね。」



俺は桜を抱きしめる。


「でも、長い長い3日だったよ。」


「何それ!笑える。」