サクラビト~約束~





「ただいま~」


「あら、お帰りなさい。

桜ちゃん、いなかったのね…。」


「でもまだ、今日は始まったばっかりだし、約束したから。」


ーまた会おうー


「そうね。」
紬はエプロンを外した。


「ちょっと、買い物行くから代わりに店番してくれないかしら。」


「了解です。」



紬からエプロンを受け取り、カウンターの席に座る。


ちょうど正午を告げる時計が鳴った。


「いってきますね。」
紬はトートバックを提げ、笑顔で出て行った。


店内には誰も客は居らず、春のそよ風が眠気を誘う。