サクラビト~約束~






「あたし、今になって気付かされたよ。


生きることをあきらめていたこと。


あたし、生きたい。



あした、笑うために生きたい。


君にまた会うために生きたい。


運命に立ち向かいたい。


まだ、遅くないよね…


だって、



あたし、




生きてるから。」





若葉は何も言わずに、抱きしめる手をさらに強くした。






「10年後の世界に来た意味、分かった気がする。

このタイムスリップは、あたしに絶望を与えるんじゃなくて、希望を与えるために起きた奇跡だったんだね。



若葉さん、もう一度約束してください。」



桜が耳打ちする。



俺が頷くと、もう一度桜吹雪起こり、桜は消えてしまった。


桜木の花びらもすべて散ってしまっていた。