「もう、遅いのに…。なんで、思い出させるの。
もう、後悔はしたくないって言ったのに!」
桜の悲愴な声が、若葉の足を逸らせる。
「遅くない。遅くなんかない!!」
桜を若葉が抱きしめる。
「こうして、10年経ったいま、こうして君は俺と出会った。」
若葉は桜を抱きしめる手を強めた。
「俺もうれしいよ。また、君に会えたんだから。
これが夢であってたまるかよ。
君は運命から逆らえないと言った。
運命から逆らうために、君は何かしたのかい?
人を幸せにすること、笑わせること、本当にできないって思うの?
まだ、君は死んでいない!生きてるんだ!
君の本当にしたいことは何?
願いは何?」
あふれる涙と若葉の温もりを感じながら、考える。
あたしのやりたいこと、願い。

