あたし、
思い出した。
「あたし、一度運命に逆らおうって思ってたんだ…。」
桜の苗木を植え始めたとき、1人の少年に出会った。
そいつは見た感じ、あたしと同じ年ぐらい。
あたしはそいつを知っていた。
葬式がどんなもんか知りたくて、潜り込んだことがあった。
多くの葬式の参列者の中、1人親族の席に座っていたのが、その少年であった。
後ほど、その少年が両親を一度になくしてしまったことを知った。
あたしはこの桜の苗木を植えたところで、花を咲かせている姿を見れるわけもないって1人悲しくなっていたときであった。
その少年は目を腫らしていた。
自分も泣いていたのに、どうしたのかって聞くのかよって。

