「俺には10年前、両親が亡くなってからの少しの間の記憶がないんだ。」
「両親って…」
「俺はあの家に養子できた。血は繋がっていないんだよ。」
桜は驚いたような顔をした。
「俺は夢を見るんだ。1人の少女が何かを丘の上に植えている夢。
よく顔は見えないけど、その子は泣いているんだ。
俺がどうしたのかと聞くと、少女はなんでもないって言うんだ。
ただ、
このさくらがいつか花を咲かせ、人々の目を奪うように大きく成長してほしいと言っていた。
少女は去り際にこう言うんだ。
「君も泣いてばかりじゃだめだよ。強く生きなきゃね。また、会おうね。」と。
また会おうっていう、その約束を果たすまで、
俺は…
強く生きなきゃなって思っている。」
桜は首を振りながら、違うと答える。
「違っていない、あの子は君だと思うんだよ!!」
「あたしは約束なんてしない。絶対にしない!そんな、不確かな未来の約束なんて…!!」
ざわっと、桜吹雪が舞ったとき
誰かの声が聞こえた。
「また、会おうね…」
それは確かにあたしの声だった。

