いつの間にか、腕の少女は泣き疲れたのか眠ってしまっていた。
すやすやと眠る、少女を背中に、姉の待つ家へと歩みを進める。
神様、あなたはまたも意地悪をするんだな。
こんな罪もない少女に10年後の世界を見つめさせ、自分がいなくなった世界を味わせるなんて、地獄だよ。
10年前ー。
俺の両親が亡くなった。
今はこうして、幸せに暮らしているが、
俺は養子として、今の家へとやってきたのだ。
何の運命か、10年前からやってきたこの少女。
こうして10年後の世界で出会ったことも運命であり、
定められていることだとしたら、
こんなに残酷なことはない…。
俺は声を殺して泣いた。

