「若葉さん、付いてきてほしいところがあるんだけど…。」
あたしは若葉の袖を引っ張りながら、伝えた。
若葉はうんと頷き、何も言わずにあたしについてきてくれた。
10年後の自分がどうしているのか、それはもう母親との再会で分かった。
しかし、自分でも確かめたかった。
本当に自分は死んでしまったのかを…。
「付いてきてほしいって言ったのは、ここなのか?ここ、こんな時間に来る時間じゃないと思うんだけどな…。」
そこは、墓地であった。
「うん、知ってる。だけど、確かめたくて…」
若葉は怖いのが苦手らしい、と感じた。
そんな若葉に申し訳ないと感じながらも、歩くことを辞めなかった。
「あった。ここだ。」
桜の花束が置かれた墓石の前で、止まった。
笹本家
「ここって…。」

