ーお前がこの人のために、何をしたい?ー
おかあさんはいつもあたしを見守ってくれた。
おかあさんも死の恐怖と戦っていた。
でも、必死にあたしを支えてくれた。
おかあさん
「ありがとう。幸せになって…。」
江本さんはあたしの言葉に、一瞬体が反応し、こちらこそありがとうって言い涙を拭い、あたしの体から離れた。
「娘の桜かと思ったわ。これは、娘からの言葉として胸の奥にしまっておくわ。ありがとう。これで、思い残すことなく、この街を離れられる。」
ありがとうっと、見たこともない母親の優しい笑みに自然と涙が出た。
「どうしたの?泣かないで。笑って、ほら。」
「どうして桜ちゃんが泣くんだよー。」

