したいこと、やりたいこと、やり残したこと…
考えてもよく分からなかった。
「あぁ、しまった!」
突然、紬が声を荒げた。
「ど、どうしたんですか?」
「配達の花束1つ、若葉に渡すの忘れていたわ。」
それは、桜の花束であった。
「よかったら、あたしが届けますか?」
紬の目が輝き「ほんとに!助かるわ!この辺りに若葉と会えるように連絡しとくわ!」と、若葉の携帯電話に連絡を入れ始めた。
これでよし!と電話を切る紬。
「この花束を待っている人がいるのに、わたしったら…。ごめんね、よろしくね。」
桜の花束を紬から受け取り、「いってきます。」と言って、歩き出した。
桜の香りが心地よい。
この花束を待つ人は、どんな気持ちで受け取るのだろうか。
そして、どんな気持ちで誰に渡すのだろうか。
そう考えると、何だか幸せな気持ちになった。
早く、渡したい気持ちが急かす。

