サクラビト~約束~




「それって、タイムスリップってことじゃない!」



紬が驚きの声をあげる。
若葉ははぁ、とため息をこぼした。



「あたし、そんなファンタジー好きだわ!ほんとにタイムスリップって存在するんだってびっくりするわ!素敵すぎるわ、桜ちゃん!」
「でたよ、姉ちゃんのファンタジア…。」



あたしは驚いて声が出せなかった。
ゆっくり息を吐きながら、「嘘…、とは思わないんですか?」



「あら、嘘だったの?」




「いいえ、嘘じゃないんですが…。」



あたしは何を言ったらいいか迷っていると、紬が続けた。



「あたしたちはね、その人が嘘をついているのかすぐわかっちゃうの。」



紬はあたしの頭を撫でた。




「桜ちゃんの目は真っすぐにあたしたちを見据えていたわ。人は嘘をつくとね、視線をそらしたがるのよ。でも、桜ちゃんは視線を外さず、私たちを見ていた。それがあなたを信じる理由よ。」