若菜の姉は紬というらしい。



2人の両親は海外にいるらしく、紬が10年前にこの街に花屋を開業したらしい。



涙が落ち着いたころ、若葉がホットミルクを差し出してくれた。
「ありがとう」と呟き、そっと口にした。
優しい味が口の中に広がった。



「どう、落ち着いた?」



紬があたしの背中をさする。
2人とも、あたしを心配しているのだと、痛いくらいに伝わった。
あたしは、ゆっくりと頷いた。



「何があったのか、教えてもらえる?」



「俺に話したことは、嘘なんだろ?」



2人の問いかけに答えようと、俯いていた顔を上げた。



「若葉さんに話したことは、すべて嘘です。」