夢なら覚めろ…
覚めたそこには、何が見えるんだろうか。
そこには…
うっすらと目を開けて、はじめて映ったのは…。
「おはよう。身元不明少女。」
大内若葉…
機嫌が悪そうなその顔を見つめて、はっと我に返る。
「ここは、夢なんかじゃないんだ…。本当に…。」
「だから、さっきから言ってんじゃんかよ。夢じゃないって!」
「だって、」あたしは…
「どうしたの、若葉?そんな大きい声出したら、桜ちゃん驚いちゃうじゃない!」
扉から顔を出したのは、愛らしい顔をした1人の女性。
手には、春を感じさせる花束を抱えていた。
「ねぇちゃん。ごめん。こいつ、目を覚ましたんだ。」
話の内容から、若葉の姉であることが分かった。

