無言で若葉に近づき、不思議がる若葉の左頬をつねった。
案の定、あたしの思っていたような声があがる。
「いてぇよ!お前、喧嘩売ってんの?」
「これは、夢。リアルな夢なんだ。」
何か知らない大きな恐怖を感じた。
その大きな不安から自分を守るために、呪文のように夢なんだと呟いた。
あたしの体温が急激に下がっているのが感じられた。
「お前、何言ってんの?これが、夢なわけあるかよ!俺は確かに生きてっぞ!おい、お前、顔青いぞ?」
夢じゃなきゃ、あたしは…
何も考えたくない、
何も感じたくない、
あたしはあの日、死んだはず
なぜ、ここにいる?
なぜ、10年後の世界で生きている?
分からない…
若葉が何かいっているが聞こえない。
あたしは目をつぶった。
夢なら覚めて、次に目覚めたらそこにはー
何があるのだろうか……

