救急車のサイレンの音が夜の街に鳴り響く。
モニターの心電図の音、浅い呼吸音。
涙を浮かべ必死に名前を呼ぶ女性。
あれ、あたし…
うっすらと目を開ける。
母の綾子と救急隊と思われる男性が目に入った。
また、倒れたんだ…
止まっていた思考回路が正常に働く。
「桜!!聞こえる?桜…、桜!!!!」
聞こえてるよお母さん…
しかし、言葉に出てこない。
胸が締め付けられるような痛みが襲う。
あたしにはもう時間がないんだね…
分かっていた、分かっていたけど
死の間際になって少し怖くなった。
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