季節はすっかり夏。 制服も夏仕様に衣替えし、 照りつける日差しが肌を焼く。 それでも桜は、裏庭のいつもの場所に居た。 学園内で唯一、心が休まる場所。 「桜」 「こんにちは、啓志さん」 憧れのあの人に、会える場所。 「ここは涼しいな」 「木が日差しを遮ってくれますから」 「さすが、この裏庭の主だな」 にやりと、少し意地悪な笑み。 啓志は人をいじるのが好きなようで、 よく意地悪な事を口にする。