「ほら、椿(つばき)。桜の木よ。綺麗ね」 「さくら…?」 「そうよ。お母さんと同じ名前の花なの」 「うん、きれい!」 無邪気に微笑む娘。 手を引いて、桜並木を歩く。 こんな日は、あなたを思い出してしまうのです。 許されない恋の末、失ってしまった愛を。 ―啓志さん。