あたしの唯一の長所は、色々と小器用であることだ。
特に、ゲームやボウリング、ダーツなど遊びに関しては、
昔、おにーちゃんの練習に付き合わされたこともあり、
男の子に混ざってガチ対決できる技量をなぜか持っている。
「あー。さっきからカレーもダーツもお前に負けて、俺マジでダサくね?」
先輩はフォームを気にしながら、矢を数本投げて練習をしだした。
「別にいーじゃないっすか。あたしの前ではそんなの気にしなくて」
「まー、そーだけど。相手がお前だとしても、一応プライドがあるんです、よっ」
先輩は練習だと、的の真ん中によく刺さっているようだ。
なんとヘタレなタイプなのでしょう。
「でも微妙ですよ。特に男女みんなで遊ぶ時とかは。
結局、『これどうやるの~? 教えて~!』って頼ってくるような下手な女子がモテるじゃないっすか」
刺さった矢を取りにいく先輩に向かって、そう言ってみると、
「まあ、それは分かる気がする。『わ~すごいね~!』とか褒められると単純に嬉しいし」
という答えが返ってきた。

