目の前の国道は、学校前の県道よりも大型トラックやトレーラーが多く行き交っている。
時々、会話の合間に、大きなエンジン音や、土の匂いのする突風に包まれた。
「原チャ通学、学校に届出すればいいじゃないっすか」
「俺のうち、規定まであと100m足りねーの。あと去年チャリ通学してた時、サドル盗まれたことあるからあんま学校に停めたくないし」
「あはは、それすごいですね!」
よく考えたら、こうやって放課後、吉野先輩と2人でお出かけしているなんて、奇跡に近いことだ。
でも、先輩は自然な表情を見せてくれるし、
たぶんあたしとの時間を純粋に楽しんでくれているんだと思う。
先輩はこの後どうするのかな?
もう帰るのかな?
そう思っていると、
「お前、もうちょっと時間大丈夫?」
と、先輩は言って、ヘルメットをかぶりながら横目であたしを見た。
あたしが頷く前に、
「腹いっぱいだし運動するぞ。ついてこい!」
と言って、ブーンと原チャを走らせ、国道へと消えていった。
何て勝手な!
しかもついてこいって無理だよこれ。ひー!

