きっと先輩も――
思う存分憎まれ口をたたけるし、全然気を遣わなくていいから。
それだけの理由であたしと友達でいてくれているんだろう。
「お前が静かだと、何か調子狂うなー。ほら、この前みたいに俺をののしってみろよ! ああ?」
パンッ、と自分の胸元を叩き、あたしをにらみつける先輩。
いやいや、それ意味分かりませんから。
「イケメン。イケメン。むかつく」
そう棒読みで返すと、先輩は一瞬だけぴくっと眉毛を動かした後、
ピカーン! と豆電球を頭上で光らせたような表情になった。
「おいお前、どうせ今日ヒマだろ?」
「ちょ、勝手に決め付けないでくださいよ。……まあヒマですけど」
「しょうがないから俺が一緒に放課後過ごしてやるよ。逃げんなよ!」
先輩は、そう言ってニヤリと爽やかイケメンスマイルを見せた後、
青信号になった横断歩道を颯爽と渡っていった。
――はい?
もしかして……これってデートのお誘い!?
いやいやいや。
一応、あたしたち友達ですから普通に遊びに行こうってことでしょう、きっと。

