ちょっと調子に乗った考えかもしれないけど、

あたしを拒絶している今、先輩は自分のメンタルを上手く保つことができているんだろうか。



ちょっと下手こいただけで、家で1人で超反省会とかしていそうだ。


単純に、心配でたまらない。



とりあえず、ノリ坊とのことを結論を出して、

それから、もう一度先輩とちゃんと話をしよう。



でも、スミスさんとの1件の時も思ったけど、

どうして先輩はそんなに必死になってイケメンキャラを続けているのだろう。


どうしてみんなに素を見せるのを怖がっているのだろう。




そのまま考えごとをしながら、駅ビルを出て家路につこうとした時。



あっ――!



バス停前にとある女の子がいたため、

あたしはとっさに「すみません!」と声をかけていた。



振り返ったのは、買い物袋を両手にしたツインテールの可愛らしい女の子。



「はい?」



そうだ、あの子だ。


先輩の部屋で勉強している時に、乱入してきた――。



「吉野先輩の妹さんですよね?」


「あれ、モモカじゃん。そうだよー! 覚えててくれたんだ」



先に夏休みに入っているのか、Tシャツ&ショーパンの私服姿。


すらっと伸びた手足がまぶしい。



聞くと友達と買い物に来ていて、さっき解散になったとのこと。



相変わらずすっぴん気味なのに整った顔。


こりゃ将来、絶対美人になるやつだ。