イケメンすぎてドン引き!








『ごめんね。あたしまだノリ坊のことそこまでよく知らなくて。もし良かったら今度ゆっくり話しませんか?』



違う違う。これ、完全にデートに誘ってる流れじゃん!


急いであたしはスマホの文字を打ち消した。



『無理なら早めにはっきりフってください』



ノリ坊はあたしと吉野先輩が仲良しなこと、知っている。


あたしが先輩と祭デートに行ったことを知って、凹んでいたらしいし。



あたしはノリ坊に、付き合う気があるかどうか、その答えを伝えるべきなのだ。



彼のはにかんだ、可愛らしい笑顔が頭の中に浮かぶ。



もしもノリ坊があたしの彼氏だったら……(妄想スタート)



ノリ坊がストレートに気持ちを伝えてくれて、あたしはそれに照れながらテンパって。



きっと、あたしが変なことを口走ったとしても、ノリ坊は笑いながら受け入れてくれそう。



ベタベタな少女漫画を読んでいることがバレても、それ面白そうですねーって興味持ってくれたり。



ノリ坊の部活が終わるのを待っていると、すみません待たせましたよね、とか言ってダッシュで向かってきてくれたり。



――むふ、ふふふふふふふふ。



1人駅ビルのドトールでニヤけてしまうあたし。


はっと我にかえり、ため息を吐く。



ミーちゃんとヒロキ氏からの衝撃の告白もあり、今は頭の中を整理しようと1人カフェタイム中。



それにしても。ホント、この自分の無駄に優れた妄想力には驚かされるよ。


もうケータイ小説でも書き始めるか?




――だけど。



違うんだと思う。


本当にあたしが求めているものとは。