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「わー先輩、やっぱり中学の頃から超イケメンじゃないですか! 今より可愛い感じですけど」
なぜかあたしは先輩の部屋で、
彼の中学の卒業アルバムを見せてもらっていた。
アルバムの中の先輩は、
髪の毛は真っ黒、背も今より低い感じで体も細い。
カメラに向かって整ったイケメン笑顔を向けている。
まわりに映っている男女たちが皆イモ臭いガキに見えてしまうほど。
確かに今よりもあどけない感じで、妹さんとちょっと雰囲気が似ているかも。
でも、何だろう。
やっぱりその笑顔はいかにも、あたしと一緒にいる時とは違って、
みんなの前での先輩――イケメンモードのまま。
中学の頃からすでに猫かぶっていたんですね。
「小学生の頃のアルバムもないんですかー?」
もっと幼い彼の姿も見たいと思い、そう聞いてみた。
風太少年12歳……
きっと美少年なんだろうなー! もしくは可愛い系?
「……あぁ」
先輩はごそごそとベッドの下に手を入れ、厚みのある冊子を取り出した。
な、なぜそんなところに!?
(ベッドの下って、漫画で言うとえっちな本を隠してる場所じゃない?)
「ありがとうございます! ……ん?」
あたしは先輩からそれを受け取ろうとしたが、彼は手を離してくれない。
ふと、その表紙の文字が目に入る。
あたしはあることに気がついた。
「え!? 先輩って小学生の頃、別のとこにいたんですか?」
その冊子には、遠くの県らしき小学校名が刻まれていた。
「そう。もともと生まれは別で、中3のはじめにここ引っ越してきた」
「へー転校生だったんですね。てか早く見たいんですけどぉ」
そう言って、あたしはそのアルバムを引っ張った。

